研磨とカット

ダイヤモンドが婚約指輪や結婚指輪のひとつの宝石として私たちの手に届くまでには、幾多の技術過程を経なければ、アクセサリーとして身につけることはできません。ダイヤモンドは、掘り出されるときは単に一個の鉱石であって輝きはありません。研磨してはじめて不変の輝きを放ちます。

婚約指輪で使われる宝石の研磨には、一般的に円形の研磨盤が使用され、これを高速度に回転させながら、原石の表面を削りとっていく方法がとられています。カットされる石の各面はナイフやのこぎりなどで簡単に削り取れるものではありません。研磨盤の上に原石をのせ、表面を削って小さな一面をつくり、次に別の一面を同様の方法でつくっていきます。研磨盤は第一段階の荒削りの場合、ダイヤモンド以外の原石は、その石の持つ硬度やもろさに応じて研磨砥石の回転速度を変えていきます。地球上でもっとも硬い物質であるイヤモンドの荒削りには、ダイヤモンド砥石(ダイヤモンドの粉末を銅などの金属の粉末と混合してかためた砥石)を使います。

荒削りで大体の形になると、仕上げ研磨が施されます。ダイヤモンドは、鋳鉄板の上に、油とダイヤモンドの粉末を練りあわせた研磨剤をつけ、一分間に三千回転という高速回転によって、一面一面たんねんに磨かれます。宝石には結晶があります。高価な宝石ほど結晶は複雑で、研磨の際、結晶の軸はどこにあるか細心の注意が払われます。結晶軸を見きわめながら慎重に研磨されますが、大きな石は小さく分割するために結晶を見きわめる前に原石を切断したりすることもあります。

指輪の為にカットされた石は、ようやくその本体を現し、輝きを見せはじめますが、石だけでは身を飾ることはできません。指輪やブローチなどになってはじめて装身具としての役目を果たすのです。装身具の加工技術は何千年も前から行われていますが、基本的なことは現在にいたっても変わっていません。ガスと酸素でとかし込まれた地金の塊はハンマーでたたき伸ばします。これは角棒や板に成形するというためだけでなく、たたき伸ばすことによって地金の持つもろさを解消し、粘着力を強化するために行われます。

ある程度成形されると、やすりやのこぎりでさらに細かく形づくられ、へらで金属の表面に残っている傷を押し込むようにして除去します。この技法は多少手仕事の分野が機械によって合理化されましたが、古代からの技術とあまり変わるところがありません。最後に研磨剤をねりつけて地金の表面を仕上げ、できあがった婚約指輪やブローチを樹脂などで固定し、タガ、不で一個一個の宝石をとめていきます。